GoToトラベル、GoToイート、そしてカラオケを極力リスクを抑えながら利用する方法。

12月14日に政府より「GoToトラベル事業」の一時中止が発表されました。
いわゆる「第3波」の収束の見通しが立たず、
このままでは医療崩壊を引き起こしてしまうとの懸念による判断と思われます。

年末に帰省する予定だった唯野も、現況を見る限りは再検討も止む無しと考えています。

さて、マスメディア報道を見る限り、
世論的には「GoToトラベルを早急に中止すべきだ」とする意見が多かったように思えますが、
はたして旅行そのものが感染拡大の要因と言えるのでしょうか?

分析においては、誘因と要因を明確に区別する必要があります。

感染拡大の要因(直接的理由)は人々による飛沫の拡散ならびに共有です。
平たく言えば、大勢の場での会話などの声を発する行為により、
人々がウイルスを含む飛沫を共有してしまうことが要因(直接的理由)です。

これに対して、GoToトラベル事業そのものは誘因(要因を作り出すきっかけ)と言えます。
つまり、旅行することにより人々が大勢で会話や大騒ぎをするきっかけを作り、
その結果、ウイルスを含む飛沫を介して人々に感染が拡大していくといったものです。

ここで大事なのは、誘因はあくまできっかけに過ぎず、
対策によっては要因(本件で言えば感染拡大)への道を閉ざすこともできるということです。

たとえば、GoToトラベルの対象を「おひとりさま旅行」に限定したとしましょう。
この場合、感染拡大のリスクはどのぐらい想定されるでしょうか?

先ほど申し上げた通り、感染拡大の要因はウイルスを含む飛沫の共有です。
平たく言えば、(感染者かもしれない相手との)マスクなし会話がその一例です。

しかしながら「おひとりさま旅行」であれば、そもそも移動中に会話をする相手がいません。
観光地の売店で店員さんと話したり旅館でフロントの人と話したりはあるでしょうが、
それはおそらく、日常生活において一人でコンビニに行った時に店員さんと話す機会と、
大きな差はないかと思います。

つまり、「おひとりさま旅行」であれば
感染リスクは日常生活とほぼ同等程度と考えられるのです。

夏に龍王峡に行ってきました。
一人で自然の山道を散策するだけなのでリスクは皆無です(マスクも着用)。

このように、GoToトラベルは感染拡大の誘因になり得るものではありますが、
事前対策によっては要因(感染拡大)にまで紐づかないようにすることもまた可能なのです。

ここからがカラオケのお話です。

コロナウイルス感染症発生のニュースが報じられる度に、
発生元として「カラオケを伴う飲食店」という表現での紹介をよく目にします。

しかしながら「カラオケを伴う」施設で発生したからといって、
カラオケ自体がその要因であるとは当然ながら必ずしも言えるものではありません。

たとえばその店舗では、歌唱者は(他客との距離の近い)自席で歌うのではなく、
席から少し離れた歌唱者専用のステージで歌っていたのかもしれません。
(カラオケ喫茶ではこうした専用ステージを設けられている店舗も多いです)
そして、マイクは歌唱者が変わる毎に店員さんが入念に消毒していたのかもしれません。

カラオケに関わる設備・備品は十分に感染対策を取っていたのかもしれません。
感染においてカラオケは一切関係なく、
あるいは店内での食事中の会話がきっかけで感染が拡大したのかもしれません。

このように、カラオケが要因ではない可能性をいくらでも挙げることはできます。

しかしながら報道による「カラオケを伴う飲食店」という表現が全てを台無しにします。
この表現は、カラオケのせいで感染が広がったのだろうという「行き過ぎた」イメージを
読者や視聴者に対して十二分に喚起させる、大変インパクトのある表現です。
(店舗を単に「飲食店」ではなく、わざわざ「カラオケを伴う」と形容するわけですから)

もちろん、カラオケには「誘因」となる要素は多いと思います。
たとえば、大きな声で歌うことやマイクを使いまわすことで、
同じ空間(店舗内)の人々の飛沫を共有する可能性は十分に考えられます。
こうした誘因が少なからず存在する以上、
さらにここまでカラオケにマイナスイメージが蔓延してしまった現状においては、
いくらカラオケを擁護したところで、わからない人にはわかってもらえないものです。

「カラオケ=感染源」という行き過ぎたイメージを断ち切るには、
「誘因」から「要因」にかけての繋がりをひとつひとつ断ち切る必要があります。

つまり、「カラオケを伴う飲食店」でのクラスター発生という報道に対して、
「いいえ、カラオケは感染リスクには決してなり得ない」と
と論理的に反論できるようにする必要があるのです。

以下から論じる提案は極論もございますのでご承知おきください。

たとえば、(あくまで現時点での常識ですが)一般に、
マスクをつけていれば飛沫接触は防止できる(ゆえに感染リスクはない)とされています。

であれば、店舗内においてカラオケ時のマスク着用を必須とするのです。

現在、通信カラオケはDAMとJOYSOUNDの二種類のみですが、
いずれの機種もマスク歌唱に応じたモードが標準搭載されています。

JOYSOUND「マスクエフェクト」

DAM「マスクでうたう」

このように、ハード側(カラオケ機材)では既にマスク歌唱に対応済みなのです。

もちろん、歌う際には多くの息を使いますので、
通常歌唱と比べればマスク歌唱には多少歌いにくい面もあるかと思いますが、
あくまで非常事態である現況においての応急的マナーとしては止む無しかとも思います。

歌唱者が常時マスクを着用する運用であれば飛沫拡散は発生しないため、
カラオケは感染リスクの「誘因」となり得ないと言うことができます。
(もちろんマスクには確実に飛沫拡散を防止する効果があるという前提でのお話です)
(ただ、上記前提を疑えば、マスク会話自体も同様にリスク視されるべきこととなります)。

次に、カラオケの場でマスクを外すきっかけとなるのは飲食の際でしょう。
であれば、リスクはもはやカラオケではなくむしろ飲食であると言えます。

とは言え、カラオケにおけるリスクがたとえゼロであったとしても、
仮に飲食時の会話をきっかけに感染が発生してしまったならば、
報道では相変わらず「カラオケを伴う飲食店で発生」と報じられることでしょう。

であれば、いっそのこと飲食提供を当面中止とするのはどうでしょう?

飲食のリスクをもカラオケに転嫁されてしまう現状ですので、
場における感染誘因をどんどん排除していくのが良いかと思います。

飲食がなければマスクを外すシチュエーションもありませんし、
カラオケ時においてもマスク着用を必須とするのであれば、
店内では全員が100%マスクを着用しているということになります。

また、カラオケ特有のリスクとして想定されるのはマイクの使い回しです。
マスク歌唱であれば飛沫拡散もほぼ抑えられるはずですが、
さらに万全を期するのであれば、
お客様によるマイマイクの持ち込みを必須とすれば良いのです。

◆マスク歌唱を必須とする(店内でのマスク着用も必須とする)
◆飲食類の提供を中止する
◆マイマイクの持ち込みを必須とする

仮にこうした環境であれば、カラオケを利用するうえでの感染リスクは
限りなくゼロに近いと言えるのではないでしょうか?

ここまで徹底すれば、カラオケは感染拡大の「誘因」にすらならないと思います。
したがって上記の環境で楽しむ限り、カラオケは「安全」と言えるものと思います。

もちろん上記案はかなりの極論です。

たとえば、飲食類の提供を中止する案の場合、
多くのカラオケ店(カラオケ喫茶・カラオケボックスともに)では、
入店料・室料と比べても飲食オーダーのほうが売り上げ割合は大きいので
飲食の提供を無くしてしまうと売り上げ計画に大きな影響を及ぼしてしまうでしょう。

またお客様視点からみても、(フードはともかく)ドリンクの提供がないとなると、
歌い続けているうちに喉が枯れてしまうと思います。
(なのでドリンクバーなど、ソフトドリンクの提供ぐらいはあっても良さそうです)。

マイマイク必須案にしても、お客様からすれば毎度の持参の煩わしさがあるはずです。

とは言え、感染リスクを限りなく抑えたカラオケ環境を提供するという意味において、
少なくとも試してみる価値のある環境とは思っています。

いずれにせよ、カラオケにおける感染リスクの誘因を極力排除し、
カラオケを伴う飲食店における「カラオケを理由としない」誘因を極力排除し、
カラオケを伴う飲食店にて感染を発生させないことこそが、
コロナ禍におけるカラオケの負のイメージを払拭することに繋がると思っています。

<追伸>

GoToトラベルが「おひとりさま旅行」であればリスクを抑えられることと同様に、
カラオケもまた「個室で一人カラオケ」であればリスクは皆無と言って良いと思います。
GoToイートも一人で黙って食事をする限りはリスクは大きくないでしょう。

どうも政府のGoTo事業もカラオケに対するイメージも
「多人数で行動すること」を前提にしている点が現実性に欠けていると思います。

GoToイートを論じる際には「マスク会食」などというキーワードも出ましたが、
食事を口に運ぶ瞬間だけマスクを外し、口に入れた瞬間に素早くマスクをして、
それから会話を行う、などの運用で人と食事をしても楽しくもおいしくもないと思います。

であればいっそ、食事する時は個々が分かれて食事のみに集中し、
食事が終わってから集まって必要な会議やトークをすれば良いのではないでしょうか?
無理やり「会食」にする必要もなく、食事と会議を分ければ良いだけの話です。
(ドリンクを飲むぐらいであれば会議との併用は可能かと思いますが)

カラオケも同様に、お偉方のイメージとしてはいまだに
「大勢でお酒を飲みながらワイワイする娯楽」といったものなのかもしれません。

GoToトラベル、GoToイート、そしてカラオケ。
いずれも「おひとりさま」であればリスクは極力抑えられるものと思います。

実際、カラオケボックスに関してはおひとりさま利用の割合も決して小さくなく、
カラオケボックスのお客様のうち3組に1組が一人での利用と言われています。

旅行も食事もカラオケも、当面はおひとりさまを対象としてシフトすることこそが、
これ以上の感染拡大を抑制する効果を期待できつつも、
経済へのダメージをも最小限に抑えられる、
絶妙に双方のバランスの取れた施策となり得ると思っています。

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