カラオケ評論家活動

豊橋技術科学大学の飛沫量実験とカラオケに関するメディアの報道について。

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本日、さまざまなメディアで表題の実験についての発表記事がございました。

まず、唯野は「カラオケ評論家」という立場ではありますが、
事実を曲げてまでカラオケの安全性を主張するつもりはありません。
リスクはリスクとしてしっかり捉えたうえで、
そのうえで、安心・安全にカラオケを楽しめる方法や環境を模索しています。

そういう意味では豊橋技術科学大学の今回の実験は、
科学的な検証結果に基づく客観的な判断材料を示すものであり、
こうした実験そのものは大変に有意義なものと思っています。

問題は、その実験結果を報じる側です。

「大声カラオケで飛沫10倍超 新型コロナ拡大要因か」
https://news.yahoo.co.jp/articles/68cc100e7434b14851874d330360a4f68e28d84a
(共同通信社)

「飲食中に大声で歌唱→飛沫14倍「カラオケでは対策を」
https://www.asahi.com/articles/ASNBH5TT3NBHOBJB009.html
(朝日新聞社)

「『飛沫量』を大学が計測…大声で歌うと普通の会話の11倍 カラオケ店を想定した飲食伴う場合は14倍に」
https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20201015_144023
(東海テレビ)

タイトルから受ける第一印象は「カラオケは危険!」とも言えるものです。

特に共同通信社は「通信社」という側面もあることから、
数多くの新聞メディアサイトにおいて当該記事がそのまま掲載されています。

声を発する行為に飛沫が生じるのはまぎれもない事実です。
飛沫接触という意味においてカラオケにリスクがあるのもまた事実です。

しかしながら、そのリスクの度合いを実験からしっかり読み取るべきです。

たとえば共同通信社では「大声カラオケで飛沫10倍超」とタイトルにありますが、
当該記事内には以下のように記載があります。

実験では、1秒間に出る飛沫量は、通常の会話と比べ、
飲食しながら歌った場合が最多の約14倍、大声で歌った時は約11倍だった。
大声での会話は約9倍。

大声での歌唱は約11倍、大声での会話は約9倍。
11倍と9倍ではさほど差がないように思えます。

であるならば、飛沫が飛躍的に多くなる要因は、
カラオケよりもむしろ大声を出すこと自体ではないでしょうか?

また、朝日新聞社の記事には以下の記載がございます。

通常の会話時を1とした飛沫量は、
大声での会話時で9、大声での歌唱時で11、せきは33だった
口に梅干しやジュースを含んだ直後の「飲食中」状態で会話すると飛沫量は2、
飲食中の大声歌唱は14だった。

飲食中の大声歌唱は14とありますが、飲食中の大声会話のデータはございません。
もっとも、飲食なしの大声会話でも9ですので、
飲食中であれば9よりも割合は増えると思われます。
であればやはり、カラオケよりも大声の方が要因としては大きいと考えられます。

また、せきは33とあることから、カラオケよりも大声よりも飲食よりも
せきのリスクの方がはるかに大きいことがわかります。

であればタイトルでは、カラオケよりもせきのリスクのほうを強調したほうが、
より実験結果に即した注意喚起につながったのではないでしょうか?
(「やはり感染予防にはマスクは必要」的なテイストで)

東海テレビの記事には以下の記載がありました。

「学生さんに歌ってもらうと、
普通の声で歌ってもらうと4倍くらいになって、大声で歌うと11倍でした」

これまでの3記事を総合した実験結果は以下の通りです。

通常の会話における飛沫量を1とすると、

◆飲食中の通常の会話:2倍
◆普通の声で歌う:4倍

◆大声で話す:9倍
◆大声で歌う:11倍
◆大声で飲食しながら話す:?
◆大声で飲食しながら歌う:14倍
◆せき:33倍

ということになります。

通常会話に比べて通常歌唱は4倍の飛沫量というのは実験結果として事実ですが、
同様に通常歌唱はせきに比べて約10分の1程度の飛沫量というのもまた事実であり、
せきに比べれば歌唱のリスクははるかに小さいと言っても良いものかと思います。

また、大声で話すことと大声で歌うこととで飛沫量に大きな差はありませんので、
「飲食中に大声で歌唱→飛沫14倍」の記事タイトルについて、
「大声で歌唱」を「大声で会話」に置き換えても表現として大差ないかと思います。

もちろん、カラオケという環境は
通常よりも大声を出しやすい(大声を出したい気分になりやすい)面もあり、
そういう意味では無意識に声が大きくなり飛沫量も多くなるという側面はあるかと思います。

とは言え、実験結果を正しく報じるのであれば、

◆大声を出すことは通常の会話よりも飛沫量が大きく増える
◆せきのリスクは大声を出すことの3倍の飛沫量がある

ではないでしょうか?

その事実結果を基に、
「たとえばカラオケの場などでは無意識に大声になりやすいので注意が必要」
的な注意喚起記事であれば、きわめて客観的かつ冷静な記事になるかと思います。

 

<↓ 意見には個人差があります ↓>

マスコミの報道には「仮想敵を作って必要以上に煽る」一面があるかと思います。
(芸能人の不倫報道など最たるものかと)

コロナ禍において、カラオケは相当に「仮想敵」とされています。
実際、コロナ感染の報道でも「感染者はカラオケ店に行った」的な記事を多く見かけます。

「カラオケは感染リスクの高い娯楽なので敬遠すべきだ」とする刷り込みにも思えます。

メディアが人々に対して「冷静に行動すべきです」と呼びかける様子をよく見かけます。
コロナ禍の例では、マスクの買い占め問題時もそうだったと記憶しています。

であれば報道側も、単純でわかりやすい勧善懲悪ストーリーで人々を煽るのではなく、
真実をベースとした「冷静な報道」を期待したいものです。

<↑ 意見には個人差があります ↑>

 

ちなみに東海テレビのリンク先では2分ほどの報道動画も掲載されています。
その中には歌唱時の飛沫測定の実験動画もありましたが、
動画を見る限りは、測定器は口に非常に近い真正面にありました。
したがって今回の飛沫量の計測値は、
「口に非常に近い真正面」においての値と言えるかと思います。

当該実験に近い環境と言えばカラオケ時のマイクが該当すると思います。
ただ逆に言えば(マイクより遠方にいる)同席者に対する飛沫量実験とは別かと思います。

したがって、単に複数人が同じ部屋でカラオケをしているだけであれば、
それぞれが影響を受ける飛沫量は上記実験量よりは少ないものになるはずですので、
実験値から想定されるものよりは、リスク度も幾分は下がると思われます。

であれば、「大声カラオケで飛沫10倍超 新型コロナ拡大要因か」のように、
今回の実験結果をもってカラオケをコロナ拡大の要因として紐づけるかのような
共同通信社のタイトルは、読者をミスリードに導く、妥当性に欠ける表記と考えます。

もちろん、唯野も決してカラオケはリスクゼロと申し上げるつもりはありません。

カラオケの場における感染リスク要因の第一はマイクの使い回しと思っています。
そのため、一つのマイクを(消毒なく)同席する複数人で使い回した場合、
今回の実験結果が示す数値に相当するリスクは相応に考えられると思います。

したがって、マイクの使い回しによる感染リスクをいかに軽減させるかが、
今現在、カラオケ店舗事業者に問われている喫緊の課題かと思います。

唯野の現時点でのベター案は「マイマイクを普及させること」です。
店舗マイクではなく、自分専用マイクを持参して歌うようになれば、
感染リスクは大分軽減されると考えます。

カラオケ店舗でマイクを売れば幾分の売上にもなりますし、
さらにマイマイクを「店舗預かり」にできれば、
お客様も他店ではなく自店に続けて通うようにもなりますね。

常連客を作るきっかけにもなると思います。

 

<追伸>

「「パ・ピ・プ・ペ・ポ」等の破裂音伴う曲は飛沫増…」
https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20201015_144024
(東海テレビ)

「パプリカ」が心配です。

鼠先輩も心配です。

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