カラオケ評論家活動

シダックスさんがカラオケ事業をB&V(カラオケ館さん)に譲渡するニュースについて

投稿日:2018年5月31日 更新日:

2018年5月30日の日本経済新聞さんサイトに、
「シダックス、カラオケ撤退 給食事業に集中」という記事が掲載されました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3117088030052018TJ3000/?n_cid=SNSTW001

記事によると、シダックスさんグループ内で主にカラオケ事業を担っている
「シダックス・コミュニティー」社の株式81%を「B&V」社に売却するとあります。
(残り19%はシダックス社が引き続き保持)

B&Vさんとは、大手カラオケチェーン・カラオケ館さんの運営元です。
つまりこのニュースは、
カラオケ店舗としてのレストランカラオケ・シダックスさんがB&Vさんの傘下に入り、
B&Vさんは、カラオケ館さんとレストランカラオケ・シダックスさんの
2ブランドを有することになる、
ということを意味しています。

同時に、シダックスさんとしては、19%の株式を持ち続けてはいますが、
今後、自社グループ単独事業としてカラオケ事業に関わるのではなく、
B&Vさんグループ傘下の「シダックス・コミュニティー」社に対して、
(株式割合に相当する範囲にて)事業を担っていく、ということになります。

まだ記憶に新しいことですが、2016年8月には東洋経済オンラインさんにて
シダックスさん大量閉店のニュースが報じられました。

参考までに、その当時の唯野記事はこちらです。
https://enjoysing.com/2016_08_31_03_27_24

それから約2年経った今回、カラオケ事業子会社を競合他社に譲渡するに至りました。

ここで、シダックスさんの公式サイトに掲載された、
5月30日付のニュースリリースの内容を抜粋します。

当社はレストランカラオケ事業の改善をすべく、季節毎の販促強化やゆったりランチの強化、
諸経費のコスト削減や適切な人材配置による本部経費の削減に加え、
(略)不採算店舗の売却や閉店による大幅な赤字縮小対策等で自助努力を継続して参りました。

しかしながら、一人カラオケ等消費者のニーズが大きく変化する市場環境の影響から、
抜本的な改善には至らず平成30年3月期においても大きな赤字を計上することとなりました。

今回、上記の自助努力の次の段階として、同業を営むBV社と資本業務提携を締結し、
お互いの持つ強みを共有することで、自助努力では成し得なかった抜本的改善を目指すことを決定致しました。

当社では主に郊外に出店してきた経緯がありますが、
BV社は主に東日本を中心とした繁華街に多くの店舗を有することからロケーションの点で競合することはなく、
当社で今までに培った「レストランカラオケとしての高級感」や「食材の一元調達に関するロジスティックス」、
BV社の有する「高度なカラオケ運営ノウハウ」や「出店場所に関するリサーチ力」等の経営資源を互いに共有し
有機的にこれらを統合することで、店舗売上が拡大及び原価率の低下により店舗の収益率が向上し、
SC社の事業改善が着実に且つ迅速に行われると考えております。

https://www.shidax.co.jp/upload/1116/201805301.pdf

2016年の「不採算店舗の売却や閉店」後においても、
経営面における「抜本的な改善には至らず」、
そのため今回、競合他社であるB&Vさんと「資本業務提携を締結」し、
B&Vさんの「経営資源」を活用しながら「事業改善」を図る、とあります。

もう少し具体的には、以下の役割分担とのことです。

当社及び当社グループはSC社に対して、
レストランカラオケ事業に係る食材・消耗品の販売・配送、業務管理システムの提供、
個人情報管理・会員サービスの提供を継続致します。

また、BV社はSC社に対して経営指導、資金支援等を行い、
既存店舗のリニューアル及びオペレーション等の改善による店舗の原価率の低下を図っていく予定です。

上記関係の下、当社はBV社と共にレストランカラオケ事業を発展させていく所存でございます。

フードメニュー用の食材提供や各種システムの提供はシダックスさんが行い、
カラオケ店舗の実経営および資金面の捻出等はB&Vさんが行うということのようです。

つまり、システムはこれまでの既存のままですが、
資金面や経営の舵取りはB&Vさん主導となるということです。

であれば、お客様視点で言えば、
これまでと同様の感覚でシダックスさんを利用できると言えそうです。

今のところは、ですが…。

さて、ここからが唯野見解となります。

おそらく今回B&Vさん傘下に入るシダックスさん店舗の多くは、
一年以内に姿を変えると思っています。

それは、そもそも今回のお話に、B&Vさんには大きなメリットがないと考えるからです。

先に紹介したシダックスさんのニュースリリース文面に、

「当社では主に郊外に出店してきた経緯がありますが、
BV社は主に東日本を中心とした繁華街に多くの店舗を有することから
ロケーションの点で競合することはなく」

とありましたが、
逆に言えば、B&Vさんは「郊外に出店」する戦略をこれまで採っておらず、
郊外店を運営するためのノウハウを十分に有しているとは言えないはずです。

にもかかわらず、ニュースリリース文面にあるような、
「BV社の有する「高度なカラオケ運営ノウハウ」や「出店場所に関するリサーチ力」等の経営資源」
をいったいどのように生かしていくのでしょうか?

そもそも、なぜ今回の譲渡先がB&Vさんなのでしょうか?

シダックスさん同様、郊外店舗経営ノウハウを有している競合他社は他にもございます。
(ビッグエコーさん、カラオケBanBanさん、まねきねこさん、コート・ダジュールさん、など)

実際、2016年のシダックスさん「大量閉店」後には、
多くのシダックスさんが、カラオケBanBanさんやビッグエコーさんとして生まれ変わりました。
https://enjoysing.com/2016_09_27_23_59_22

それが今回は、都市型店舗経営のB&Vさんへ譲渡しています。

つまりは、他に「引き取り手」がなかったのでは、と考えられるのです。

(もっとも、まねきねこさんにお話を持っていくことはなかったと予想しています)
(理由:ここ数年のシダックスさんには第一興商さんのサポートが多く入っていると思われるので…)

さらに言えば、経営的視点では、現存店はさほど魅力のある物件ではないと言えるのかもしれません。
そうした現存店を今後B&Vさんが「経営資源」にて立て直しを図るわけです。
かなりハードルの高い事業と推測せざるを得ません。

…ここまで、少し悲観的な予測のお話になってしまいましたが、
もちろん、今回の事業譲渡が上手くいかないことを望んでいるわけでは決してありません。

たとえ母体が変わっても、これまで多くの地域の方々に愛されてきたシダックスさんの各店舗が、
多くのカラオケユーザーにとって、これまでとは何も変わらずに楽しんで歌える場として、
ずっとずっとあり続けて欲しいと願っています。

しかしながら、どうしても今回の件に関するB&Vさんのメリットが見えてこないのです。
シダックスさんは採算が合わないから「シダックス・コミュニティー」社を手放しました。
それを採算が合うように立て直すのは並大抵のことではありません。

また、店舗名も当面はシダックスさんとして運営していくことになるでしょう。
そのことは、B&Vさんにとって何らかのメリットがあることなのでしょうか?

仮に業績が回復し「シダックスさん、良くなったね」と評価されたとしても、
世間的にイメージアップするのはシダックスさんです。
したがってB&Vさんやカラオケ館さんのブランディング効果には繋がりにくいです。

とは言え、既存のシダックスさんの店舗名をカラオケ館さんに変えることもまた、
事実上難しいと言わざるを得ません。
なぜならカラオケ館さんは文字通り、ほぼビル型のカラオケ店舗として展開しています。
そのため、シダックスさんの店舗をそのまま「カラオケ館」ブランドに衣替えすることもまた、
現実的ではないと言えます。

…ということからも、既存店舗についてはこの先厳しいのではないかという気がしています。。

なお、この度の件は、何もシダックスさんに限ったお話ではなく、
今やカラオケ店舗事業者全体が、
これまでの事業スタイル・経営スタイルを見直す時期に来ているのではないかと思っています。

すなわち、ニュースリリースの文面の、
「一人カラオケ等消費者のニーズが大きく変化する市場環境の影響から」
に如実に現れているかと思います。

つまりは、90年代の「カラオケ・バブル」時代のような、
「カラオケと言えば飲み会の二次会など大勢でお酒を飲みながらワイワイ」
的なお客様をターゲットとした経営モデルを主軸に考えているカラオケ事業者は、
この先は非常に厳しいということです。

唯野も今後改めて、各カラオケ店舗の目指す経営モデル(色)を、
じっくり見極めていきたいと思います。

◆マスメディアのみなさま

本件見解についてのご質問や取材依頼・コメント依頼は、
以下までメールもしくはお電話にてお願いします。
info@enjoysing.com
090-2202-5616

 

<追伸>
唯野はシダックスさんには非常に愛着があるので、
ここ数年のシダックスさんには特に注目していました。
ただ正直、ここ1~2年は迷走しているように感じずにはいられませんでした。。
(判断を「どこか」に委ねているというか…)

<追伸2>


今から約10年前、2009年に唯野がNHKの番組に出演した時のキャプチャ。
シダックスさんのご協力のもと、収録させていただきました。

ちなみにテーマは「一人カラオケ」でした。
…この頃から一人カラオケ向けの戦略を練っておくと良かったのかもしれません。

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