ここ数日のうちにコロナ禍における第三波が懸念されてきています。
そんな中で本日の報道記事において、理化学研究所による
スーパーコンピューター世界ランキングで2期連続世界一の「富岳」を使った
飛沫拡散シミュレーション実験の結果が公表されました。
まずは以下の3分ほどの動画をご覧ください(ANNnewsCH)。
https://www.youtube.com/watch?v=9m7PdBaHA1I
(カラオケに関する実験は前半の1分ほどです)。
実験結果そのものは予想どおりであり「なるほど」と言えるものです。
また、専門家の方による以下の解説ももっともなものかと思います。
歌を歌うというのは非常に飛沫が飛びます。
大体狭い部屋だと30秒ぐらいでどこで歌おうが部屋全体に
エアロゾル(微粒子)は広がってしまうということになります。
とは言え、あえて上記動画の画面を引用させていただきますが、
このシミュレーションのような狭い部屋でこれだけの大人数(9人)であれば、
何もカラオケに限らずとも通常の会話でもリスクは大差ないように思います。
唯野はカラオケ評論家という立場でありカラオケ業界を擁護したい側ですが、
それでも(当然ながら)この環境下でのカラオケは大きなリスクを孕んでいると考えます。
しかしながらこの環境下においてシミュレーションするのであれば、カラオケでなくても
単に狭い部屋で大人数が会話することのリスクを検証する実験と言い換えても
大差ないものかと思います。
したがって、カラオケに特化したリスクを検証する実験と捉えるのであれば、
前提環境の置き方において妥当性に欠けるように思えます。
ちなみに、このシミュレーションの広さの部屋であれば、コロナ禍の現状においては
カラオケ利用人数はせいぜい3人(多くて4人)が定員だと唯野は考えます。
ところで、今回の「富岳」のシミュレーションですが、
別のメディアではこのような紹介もされていました(FNNプライムオンライン)。
https://www.fnn.jp/articles/-/112369
理化学研究所のシミュレーションによると、
カラオケボックスは備え付けの換気装置があれば空気が入れ替わっていて、
その性能は一般のオフィス以上でした。
エアコンをつけると空気がかき混ぜられ、さらに換気の性能が上がるということです。
カラオケボックスの高い換気性について触れられています。
また、こちらも記事内の動画画面を引用紹介させていただきますが、
空気の循環する様子のシミュレーション動画も確認することができます。
ちなみにこのシミュレーションにおいての部屋の人数は3人。
このぐらいの人数であればカラオケであっても会食であっても
(少なくとも最初の事例の9名同席の部屋に比べて)
リスクは相応に緩和されることが期待されます。
(人と人とはもう少し距離を取った方が良さそうですが)
このように、同じ実験に関する報道であっても、
どのように映像を作り、どのあたりに重点を置いた報道とするかによって、
視聴者の捉え方も随分変わってくることがわかるかと思います。
さて、ここからが本題です。
カラオケ業界、特にカラオケボックス業界は、
対マスメディアにおける広報活動が全くもって不十分であると常々思っています。
第三波への対策として、
各地で商業施設への営業時間短縮の再要請がなされる流れとなっています。
たとえば東京ではその対象として、
「酒類の提供を行う飲食店とカラオケ店」が挙げられています。
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1009757/1012309.html
上記の東京都公式サイトのリンク先のQ&A集には以下の記載がございます。
Q4 カラオケ店とは、具体的にどのような店舗を対象としているのか。
カラオケボックスやカラオケバー、カラオケパブなど、カラオケの機器を設置し、
客がその機器を利用し、歌唱する場を提供する店舗を対象としています。Q5 カラオケ店は、酒類の提供を行わない店舗であっても、要請の対象なのか。
要請の対象となります。
飲食、お酒の提供有無に限らず、カラオケ設備のある店舗はそもそも感染リスクが大きい、
そのように判断されていることがわかります。
この判断から察するに、先ほどの「富岳」のシミュレーション実験でも触れられた、
カラオケボックスの高い換気性については全く検討の余地に入っていないと思われます。
したがって、日本カラオケボックス協会連合会ならびに全国カラオケ事業者協会による
「カラオケボックスは高い換気性を備えているから安全」という実験結果のPRは
(カラオケ業界関係者やカラオケファンを除いた)一般の方々には
まるで知れ渡っていないと言っても過言はないものと思われます。
https://www2.karaoke.or.jp/covid-19/
この事実からもやはり、
カラオケ業界は「広報活動」があまりにも不得手と言わざるを得ません。
少なくともカラオケボックスの高い換気性を東京都にしっかり認識いただいていれば、
あるいは「カラオケボックス」は時短要請の対象から外れていたかもしれません。
今や世論においても「カラオケは危険だ…」という空気が共有されているように思えます。
感染者を報道する際においても、感染源を「カラオケのある飲食店」というように
「カラオケ」を枕詞として使われる事例を多く見かけます。
単に「飲食店」「接待を伴うお店」ではなく、
わざわざ「カラオケ」を併記されるぐらいカラオケはリスクの高い設備と見なされています。
こうした風潮に対し、カラオケの持つリスクも包み隠さず話しつつ、
カラオケ事業者(特に店舗事業者)が具体的に取っている安全対策などを
マスメディアに対して顔と社名を出して真摯に訴えかけるようなカラオケ業界関係者を
唯野は寡聞ながら存じ上げません。
今のカラオケ業界には、マスメディアを介して一般の方々に対して現状を真摯に説明できる
「カラオケ業界を代表したスポークスマン」が必要と考えます。
もちろん、その役割を唯野が担えるのであれば大変に光栄なことです。
「カラオケ業界のホントのところ」「コロナ禍におけるカラオケのリスク」について、
マスメディア様からの取材依頼・出演依頼を喜んでお受けいたします。
https://enjoysing.com/contact
カラオケ業界が業界を挙げて推し進めている安全に対する取り組みは、
カラオケユーザー様だけではなく、
カラオケに普段関心のない一般の方々にまで理解いただいてこそ、
カラオケに対する「もやっとした危険なイメージ」を払拭できるものと思っています。
ちなみに、あくまで唯野主観ですが、
カラオケに特化した感染症リスクは「マイクの使い回し」のただ一点と思っています。
それ以外のリスクは、カラオケのみならず他の飲食店におけるリスクと共通であり、
カラオケ業界を含めそれぞれの業界が知恵を出し合って対策を取ることで、
徐々にかもしれませんが、状況は改善に向かっていくものと期待しています。
<追伸1>
「新型コロナ、キスは要注意だが…性交渉自体で感染しているかは明らかになっていない」
(夕刊フジ)
https://news.yahoo.co.jp/articles/7446a4e3ddd9ecd722c80a22b9a6f272410352a1
新型コロナ感染予防の基本は、
密閉・密集・密接の「3密」を避けるべきとされている。
このことから、風俗業が危ないといわれてきたが、岡氏は
「空気感染を考えればそれ以上に危険な場所は他にあります。
例えばカラオケボックスのような場所。注意すべきは『3V』です」と警鐘を鳴らす。3Vとは、Venue(会合場所)、Ventilation(換気)、
Vocalization(発声)である。
換気の行き届かない空間に5~6人が集い、大声で歌うのは最も危険で、
人が増えればさらにリスクが上昇する。それと比較すれば、性風俗でキスをすることなく、
マスク着用かつ対面会話禁止でサービスを受けるほうが、
リスクは低いとも言えるのではないか。
しかも1対1のサービスなので、バーやクラブよりもクラスターにはなりにくい。
上記のように、
カラオケボックスは性風俗店よりもリスクが高いと読み取れる言説もございます。
感染症における一般論としては一理ある部分もございますが、
少なくともここで事例に挙げられたカラオケボックスについては、
その高い換気性については全く考慮されていません。
このことからもカラオケ業界団体による、
「カラオケボックスは高い換気性を備えているから安全」PRは
世間にまるで浸透していないということがよくわかります。
カラオケ業界への厳しい逆風の向きを変えるはじめの一歩は、
何と言っても世論を味方につけることです。
だからこそ、世間に向けて真摯に訴えかけるスポークスマンが必要なのです。
<追伸2>
小池都知事はカラオケがお好きな方ですので、収束に向かい次第、
必ずカラオケ業界に救いの手を差し伸べていただけると信じています。