唯野はかねてより当サイトにて、次世代カラオケのキーワードとして
「オンラインとオフラインの融合」を挙げておりました。
コロナ禍をきっかけにオンラインによる活動が推奨される時代となり、
カラオケサービスもまた、オンライン上における楽しみ方の提供が求められています。
そんな中、3/22(月)にカラオケ店舗数業界第一位のまねきねこさんにて、
カラオケ動画配信アプリ「KARASTA」とのコラボサービスが発表されました。
「KARASTA ONEREC」
https://site.karasta.net/pages/karasta-onerec
ただ、現時点では
まねきねこさん渋谷本店のONERECルームのみでのテスト期間中ということもあってか、
上記公式サイトからは今一つサービス内容が伝わってまいりません。。
まねきねこさん渋谷本店の「ONEREC」ルーム
そこで、まねきねこさん運営元のコシダカさんのニュースリリースを紹介します。
「コシダカとミクシィが新カラオケサービスを共同開発
『カラオケまねきねこ』×『KARASTA(カラスタ)』で
『歌ってみた動画』をSNS配信できるレコーディングルームを提供」
https://pdf.irpocket.com/C2157/TGuW/ljpQ/oOWR.pdf
ニュースリリースの冒頭に、
「カラオケ店舗とカラオケアプリの共同プロジェクトは、日本初の事例です。
まねきねことKARASTAは、カラオケ業界におけるリアルとネットの融合を進めてまいります」
といった記載がございます。
まさに今回発表のこのサービスは、
唯野が常々申し上げてきた「カラオケ業界におけるリアルとネットの融合」の実現に向けた
先駆的なサービスとなり得る可能性を秘めています。
ニュースリリースには以下のような説明がございます。
■「KARASTA ONEREC」概要
「KARASTA ONEREC」は、プロクオリティの設備で「誰でも」「手ぶらで」「簡単に」撮影・収録できるまねきねこの動画撮影特化型ルーム「ONEREC」に、まねきねことKARASTAが共同開発したカラオケシステムを導入したレコーディングルームです。「KARASTA ONEREC」なら高音質な伴奏とマイク、高画質カメラやライティングシステムなど、必要な機材がすべて備わった部屋で本格的な「歌ってみた動画」を簡単に作成できる上に、音楽著作権管理事業者と包括契約を⾏っているインターネットサービス(YouTubeやInstagramなど)へ、自由に投稿することが可能です。
上記はまさしく今回のサービスの目玉と言えるものです。
DAMやJOYSOUNDのカラオケ音源を用いて歌唱した自身のカラオケ歌唱動画については、
カラオケ音源の著作権上の観点からYoutube等への投稿はNGとされています。
(メーカー運営のプラットフォーム(DAM★とも、うたスキ動画)上での公開はもちろん可能です)
https://www.karaoke.or.jp/provision
しかしながら今回のサービスは上記の点をクリアされている旨を明言されています。
■「KARASTA ONEREC」開発の背景
YouTubeをはじめとするインターネットサービス上で歌唱パフォーマンスを発信することが一般的になり、KARASTAも「すぐに好きな曲を歌える」「秒で歌ってみた動画を作成し世の中に発信できる」ことを重視してサービスを提供しています。しかしながら「歌ってみた動画」をインターネットサービスへ投稿する際には、著作権をはじめとしたさまざまな権利に配慮する必要があり、気軽に投稿できない状況でした。
「KARASTA ONEREC」は、ONERECで撮影した動画、およびKARASTAで録画した動画であれば、音楽著作権管理事業者と包括契約を⾏っているインターネットサービス(YouTubeやInstagramなど)へ投稿できるため、本格的な「歌ってみた動画」を、より多くの人に届けることが可能になります。
上記、唯野が昨年より当サイト上でかねがね申し上げていた通り、
カラオケ音源の権利上の観点は、
「カラオケのオンライン化」という命題の大きな課題でした。
その点を今回の「KARASTA ONEREC」のサービスにて解決され、
Youtubeなどへのカラオケ歌唱動画の投稿が可能になるということです。
■テスト版の概要と今後の展開
3月23日(火)より、「まねきねこ 渋谷本店」にてテスト運用を⾏いつつ、他店舗への展開を検討してまいります。なお、テスト段階では機能や楽曲数を絞っての運用となりますが、正式版ではKARASTA アカウントでのログインや動画アップロードが可能になるほか、動画投稿を簡単に⾏える編集機能などの提供、およびKARASTA内にもONEREC音源の追加を⾏う予定です。
現時点では「テスト段階」とのことで、
まねきねこさん渋谷本店のONERECルームのみの対応とのことですが、
今後徐々に対象店舗ならびに対象楽曲を増加していく予定とのことです。
自由にYoutubeやInstagramなどに自身のカラオケ動画を公開できるというのは、
カラオケ音源製作事業者の著作権の問題をクリアしているということを意味し、
その点において非常に画期的なサービスと言えるかと思います。
とは言え、ひとつ引っかかる点がございます。
KARASTAにおけるカラオケ音源はJOYSOUNDから提供されています。
それでは、KARASTAで利用できる全てのカラオケ音源(JOYSOUND音源)を
そのまま今回のサービスに利用できるのでしょうか?
おそらくそうではなく、
「KARASTA内にもONEREC音源の追加」の記載もありますので、
サービスを利用できる音源は現JOYSOUND音源とは異なる音源になるかと思います。
それはつまり、複数種類のカラオケ音源が同一のアプリ内で共存することを意味しています。
当初よりKARASTAにJOYSOUND音源を協力していたエクシングさんからすると
本件はまぎれもなく「由々しき問題」のはずです。
はたして「共存」は維持されるのか、どちらかが「駆逐」される結果となるのか、
後々の展開が非常に気になるところです。
いずれにせよ、こうした全く新しいサービスを打ち出すことによって、
カラオケ業界の「今」に一石を投じることは非常に有益なことと思います。
今後のサービスの展開に注目です。
同時に、本リリースに対しての他カラオケ事業者の動向にも注目です。
<追伸1>
正直、店舗事業者であるコシダカさんがカラオケアプリのKARASTAと組むことは意外でした。
店舗とアプリというのはまさしくオフラインとオンラインの関係ですので、
それぞれが相反する立ち位置にあると考えられるからです。
こうした固定観念を打ち破ることが新しいイノベーションに繋がることなのかもしれません。
<追伸2>
唯野は常日頃、メーカーさんにはもっと「焦って欲しい」と思っています。
DAMもJOYSOUNDも約30万曲の自社製カラオケ音源を有していて、
これは非常に大変価値の大きな資産と言えるものです。
カラオケメーカーはここ10年以上、第一興商さんとエクシングさんの二社複占状態です。
その一番の理由は、他社がカラオケメーカーとして新規参入を行うには、
あまりにも労力がかかり過ぎるという点にあると言えます。
(カラオケ音源を今から30万曲作成するのは並大抵のコストではありませんので…)
それが仮に、DTM技術等の進化によって、
高品質なカラオケ音源を制作するコスト(スキル・時間・価格)を抑えることができ、
今よりも遥かに容易にカラオケ音源を作成できるようになるとすれば、
両メーカーの持つ優位点は揺らいでしまうと思います。
そうした観点からも、今回の「ONEREC」音源に注目して欲しいです。
同時に、カラオケ音源が大変に価値のある資産である今だからこそ、
(アプリメーカー等に遅れを取ることなく)
先行してオンラインサービスに打って出て欲しいと思っています。
唯野が運営しているオンラインカラオケ大会「新東京カラオケグランプリ2021」は
オンラインにおけるカラオケサービスの一例です。
https://tokyokaraoke.com/
ぜひ同様のカラオケイベントをご企画ください。
企画・アイデアについては何なりと唯野までご相談いただければ幸いです。
カラオケ評論家・唯野奈津実への直通メールアドレスは以下です。
info@enjoysing.com
まだ世に出ていない新しいアイデアを提案させていただきます。
ご連絡・ご相談をお待ちしております。