「昼カラオケ」を提供するカラオケ喫茶とは。

札幌市内において、カラオケ設備を置く店舗でクラスターが発生したとの報道がありました。

「昼カラ」で感染拡大 高齢者憩いの場、盲点に 札幌・新型コロナ
https://news.yahoo.co.jp/articles/466711ce63c273f1c2dfbd4e09b294ebeeb539ca

昼カラで感染“喫茶店は想定外”
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200612/7000022004.html

罹患された皆様の一日も早い回復を願っております。

さて、上記報道の中で唯野が少し引っかかった表現がございました。

北海道医療大の塚本容子教授は
「夜の娯楽やカラオケボックスは休業要請の対象となったが、
喫茶店などでの昼カラオケは盲点だった」と指摘。
カラオケ自体は悪くないとした上で、
「感染の可能性がある行動をしないよう、具体的な呼び掛けが必要だ」と注意を促した。

札幌市保健所の三觜雄所長は記者会見で
「カラオケボックスは休業要請の対象で感染拡大の可能性を把握していたが、
喫茶店の中で食事の提供だけでなくカラオケが行われている実態は
行政側として把握できていなかった
」と述べました。

この度の新型コロナウイルスの感染拡大において、
声を出して歌い、客同士でマイクを使い回すなどの性質を持つカラオケは、
当初より感染リスクの高い娯楽として挙げられていました。

しかしながら、上記有識者のコメントを見る限り、
「カラオケ喫茶」という営業形態を全く把握されていなかったということ、
このことに唯野は正直驚きました。

報道ではよく「カラオケ店」と一括りにされて表現されていますが、
カラオケ設備を持つ店舗を大きく分類すると、主に以下の4形態になると考えられます。

1. カラオケボックス
2. カラオケ喫茶
3. カラオケスナック・バー
4. カラオケ付きキャバクラ・ホストクラブ等


上記はそれぞれの特性を簡単に分類した表です。
(便宜上の分類であり、個々の店舗によっては必ずしも分類に合致しない部分もあるかと思います)。

安倍総理大臣は5月14日の記者会見で、

特に3つの密が濃厚な形で重なる、夜の繁華街の接待を伴う飲食店、
バーやナイトクラブ、カラオケ、ライブハウスへの出入りは、
今後とも控えていただきますようにお願いいたします。

と話していましたが、カラオケ店舗4形態のうちで感染リスクとしてはまず考えられるのは、
「夜の繁華街の接待を伴う飲食店」としての「4. カラオケ付きキャバクラ・ホストクラブ等」
が挙がると思います。
同様に(接待を伴わないお店であっても)夜間にアルコールを提供するという意味において、
「3. カラオケスナック・バー」もリスク視される傾向にあったと思います。

さらに言えば、そもそも歌唱行為自体に飛沫感染のリスクがあるということで、
一般的に知られている店舗形態である「1. カラオケボックス」も注視されたかと思います。

しかしながら「2. カラオケ喫茶」については、
(札幌クラスターの報道においては)「盲点」との見解でした。

今回の報道では「昼カラオケ」「昼カラ」の表現が多く使われていますが、
それらはあくまで「昼にカラオケを行う」という「行為」を指しているものであり、
店舗形態の呼び名としては「カラオケ喫茶」が一般的かつ業態に即した呼称です。


こうしたガイド本もございます(「カラオケファン」特別編集「カラオケ喫茶ガイド」)。

一般的なカラオケ喫茶の店舗形態ですが、
「喫茶」の名の通り、テーブル席・カウンター席などが設置されていて、
その他に店内には一台分のカラオケ機器が備え付けられています。

それぞれのテーブル・カウンターにはグループでの来店客もいれば一人来店の客もいて、
それぞれが順番に選曲をしてカラオケを歌っていくというスタイルです。

カラオケ喫茶の店舗内には歌唱用のステージが設けられていることも多く、
順番が来た客はステージに行って他の客の前で歌を披露します。
(もちろんステージで歌わなくても自席で歌ってもOKです)。

この「他の客の前で歌を披露」という点がカラオケ喫茶の大きな特徴のひとつで
たとえばある客が一曲歌えば別のグループ客の席からも拍手が沸き起こるなど、
歌を通した交流・コミュニケーションが自然発生的に広がる場でもあります。

このあたりが特に高年齢層のカラオケファンに支持されている所かと思います。
すなわち、カラオケ喫茶に行けばみんながいて、みんなで歌を楽しめる、というように。

カラオケ喫茶のこうした、店舗内の多くのお客様が順番に歌を楽しむという性質は、
唯野分類で言うところの「3. カラオケスナック・バー」に近いと思っています。

もっとも、「3. カラオケスナック・バー」はナイト時間帯の営業が多いことから
アルコールを目的とした客層も多く見られるのに対し、
「2. カラオケ喫茶」では、日中からソフトドリンクのみで歌い合う客層も多く見られます。

そのためか、同一店舗を昼は「カラオケ喫茶」として、夜は「カラオケスナック」として、
それぞれ営業しているケースもまた多いです。
この点からも、両者の境目はさほど大きくないものと考えて良いと思います。

このように、営業形態としては近しいものがある両者ですが、
「スナック」=「カラオケ」のイメージは想定されたとしても
「喫茶」=「カラオケ」のイメージは想定されなかったという所が、
冒頭で紹介した関係者の言う所の「盲点」だったのかもしれません。

もちろん、今回のクラスター発生の事例からも分かる通り、
カラオケにおいては今後は相応の感染症対策を取る必要があります。

カラオケ事業者の主要三団体(一般社団法人日本カラオケボックス協会連合会、
一般社団法人カラオケ使用者連盟、一般社団法人全国カラオケ事業者協会)は連名で
「カラオケボックス等の歌唱を伴う飲食の場における
新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を策定しました。
https://www.karaoke.or.jp/img/guideline.pdf

業界の示すガイドラインに準じながらの営業が今後のカラオケ店には求められます。

特にカラオケ喫茶の客層は高年齢層が多いとされることからも、
より一層の感染症対策が必要になるかと思います。

店舗運営者(マスターやママさん)におかれましても、
飛沫感染等の対策を取られたうえで、安心安全にカラオケを楽しめる場を
今後とも引き続きご提供いただけることを願っています。

 

<追伸>

通常、店舗がカラオケ機材を導入するにあたっては代理店を介します。

カラオケ機材は多くの場合は買い切りではなくリースであり、
またカラオケ機材の使用にあたっても月額の通信料が発生するため、
店舗はカラオケ機材導入後も定期的に代理店と連絡を取ることになります。

したがって、カラオケ機材の導入を行っている代理店に尋ねれば、
カラオケ設備を持つ店舗を把握することが可能です。

喫茶店でカラオケを行う業態を把握していなかったとの関係者コメントがありましたが、
実態把握にあたっては、カラオケ機材を扱う代理店を今後は当たっていただければと思います。
(辿っていくと大抵はメーカー(第一興商様・エクシング様)の地方営業所に辿り着くと思います)

<追伸2>

唯野の実家もカラオケ喫茶です。

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